よもぎが癌細胞を死滅ね。!

Life Sciences, Cancer Letters and Anticancer Drugs』に発表された研究論文によれば、東洋医学(漢方)で古来から薬としてもちいられることもある、ヨモギから抽出される、アルテミシニン(artemisininと呼ばれる成分が、健康的な細胞1つに対して、12,000個もの癌細胞を死滅させたと報告しています。

「アルテミシニンは、ただそれだけでも、健康的な細胞の約100倍もの癌細胞を選択的に死滅させることができるだけでなく、抗がん剤よりも34,000倍も正確に癌細胞だけを死滅させることができます。」とワシントン大学の研究チームのリーダーであるヘンリー・ライ博士は言います。

ヘンリー・ライ博士のチームは、アルテミシニンの癌死滅能力を更に高めるために、癌細胞がもつ鉄分への食欲を利用して、アルテミシニンに鉄分(トランスフェリン)を結びつけた化合物を開発しました。周りにくっつけたトランスフェリン自体はニュートラルな成分なので、癌細胞は疑いもなく化合物を受け取ります。でも、中にはアルテミシニンが隠れているので、この化合物は、トロイの木馬のように、癌細胞の中に入り込み、癌細胞を破滅させるように効率的に働くのです。この化合物は、既に特許を取得していますが、まだ人間への投与、つまり臨床試験には至っていません。

でも、ヨモギそのものは、非常に鉄分の多い野菜・ハーブです。野菜では2番目の多さです。 『鉄分の多い食品』 ヨモギから、わざわざアルテミシニンを抽出して、鉄分を戻すようなことをしなくても、ヨモギそのものを結局食べたらいいんじゃないの?とホールフード(丸のままの食品)を食べることを勧めるホリスティック(代替医療)ヘルスコーチとしては、思わずにはいられません。食品はちゃんとそれ自体で理に適った形で存在しているんです。

ひとつひとつ、ミクロ要素に分解して考える西洋医学と、全ての要素の融合体のシナジーで考える東洋医学・代替医療の違いなんでしょうね。

古代の人々が、アルテミシニンやトランスフェリンについて知っていたとは思いませんが、昔から薬として用いてきた草ですから、生活の中で、ヨモギに健康維持の力、傷ついた遺伝子や遺伝子複製の誤り(=癌)を正す効果があることに、気がついていたってことですよね。

ヨモギをそのまま食べても、癌細胞はヨモギの鉄分のみを吸収し、アルテミシニンを吸収しないのではないかとのお問い合わせを受けました。そのため、少し調べてみました。

アルテミシニンは、その分子中エンドペルオキシド・ブリッジ(endoperoxide bridgeと呼ばれるものを持っており、それが選択的に鉄イオンと結合し、フリーラジカル(殺細胞作用)を発生させる仕組みをもっているとのことでした。つまり、ヨモギの中には、アルテミシニンと鉄が存在していますので、この二つは、アルテミシニンのエンドペルオキシド・ブリッジによって、既に結合して存在していると考えるのが普通だと思われます。

また、上で紹介した抗がん剤よりも前に開発されたアルテミシニンを使った抗がん剤においては、アルテミシニン製剤の投与(注射)4時間前に、患者に鉄分鉄の吸収を促進させるビタミンCを(経口)服用させることで、アルテミシニンと鉄分の体内での結合を促させ、癌細胞にその両方を取り込ませるという手法がとられています。アルテミシニンと鉄分を別々に摂取しても、ある一定の抗がん作用があるのですから、既に、アルテミシニンと鉄分が結合して存在しているヨモギを食べる方が、やはり、簡単ではないかと思われます。

もちろん、ヨモギを食べたら癌が必ず治るとは申しません。でも、勇気がもてる情報ではないでしょうか。

 

続編:『ヨモギいろいろ 抗がん成分アルテミシニン含有量比較

追記(2015/10/6):

アルテミシニンという成分を世界で初めてヨモギから見つけ、抗マラリア薬として開発した中国人研究者2015年のノーベル医学生理学賞を受賞されました!

 

参考文献:
This Little Known Chinese Herb Kills 12,000 Cancer Cells For Every Healthy Cell”, Arjun Walia, March 26, 2014
Scientists develop new cancer-killing compound from salad plant”, Rachel Tompa, October 13, 2008, University of Washington
Effects of artemisinin-tagged holotransferrin on cancer cells”, Lai H, Sasaki T, Singh NP, Messay A, Life Sci. 2005 Jan 28;76(11):1267-79. Epub 2004 Nov 23
Antiproliferative effects of artemisinin on human breast cancer cells requires the downregulated expression of the E2F1 transcription factor and loss of E2F1-target cell cycle genes”, Tin AS, Sundar SN, Tran KQ, Park AH, Poindexter KM, Firestone GL., Anticancer Drugs. 2012 Apr;23(4):370-9. doi: 10.1097/CAD.0b013e32834f6ea8

2015/5/6 追記分の参考文献:
Development of artemisinin compounds for cancer treatment“, Henry C. Lai, Narendra P. Singh & Tomikazu Sasaki, Investigational New Drugs The Journal of New Anticancer Agents, ISSN 0167-6997 Invest New Drugs, DOI 10.1007/s10637-012-9873-z