プロバイオティクス(ビフィズス菌や乳酸桿菌)

自然生態系において微生物が基盤的な役割を担っているのと同様に、人体においてもその役割は非常に重要なものです。特に癌を含めて慢性疾患に侵された身体は、体内細菌のバランスが悪性に偏り、健康体には見られない菌に寄生されているケースが多く、からだ全体の細菌生態系を健全に保つことは、そのまま、全身の健康につながることが知られています。 

人体における細菌環境の健康状態に与える著しい影響に着目して、近年、欧米での代替療法の主流に位置付けられるようになったのが、プロバイオティクスとプレバイオティクスです。

これは、ビフィズス菌や乳酸桿菌などの良性菌(有機酸代謝菌)を積極的に腸内に取り込み(プロバイオティクス)、更にそれらを増殖させることで(プレバイオティクス)、まず腸内の細菌バランスを改善し、続いてからだ全体からも悪性の寄生細菌を駆逐することを目的にしたものです。

周知のように人体は多くの細菌との共生によって成立しており、その関与は、免疫から消化吸収・エネルギー変換・排泄に至る代謝全般を含む生理活動の全面に広がっています。
そのため、共生細菌の環境改善は、身体状況の全体的改善に本質的な効果を発揮するのです。

抗生物質などのβ・ラクタム系薬剤は、細胞膜の形成を阻害することによって細菌を死滅させることを目的に投与されますが、これは体組織の炎症の原因となる細菌の他に、免疫に直接関わるマクロファージを含めて、有用な良性菌までを破壊してしまいます。


その結果、腸内細菌叢に大きなダメージを与え、良性菌の劣勢を埋めるようにして、ウェルシュ菌や大腸菌などの悪性菌の増殖や日和見菌の悪性化を招き、更には、それまで抑制されていた白癬菌やカンジダ菌などの寄生を許すことになります。

多くの自然療法研究家が、一度でも抗生剤を投与された身体には、低精度の検査では判らなくとも、必ずカンジダ菌が寄生していると指摘するのは、このような事情に依っています。

特に体内細菌の大部分が活動する場である腸内は、全身に及ぶ細菌生態系の中心であり、ここでのバランスは共生細菌全体の状況を決定します。

また、腸内の良性細菌群は、重金属・化学物質・放射性物質などの人体に有害な物質を取り込んで体外に排出するという重要な役割も担っています。そのため、十分な良性菌量の確保と速やかな排泄は、体内浄化にとっても不可欠の要素となります。

健康な人の排便量の半分以上が腸内細菌といわれるように、良性菌の繁殖が活発なほど便量も増える傾向にあり、良好な便通によって腸壁を覆う宿便が減れば、有害物質の排泄が順調に行われると共に栄養吸収も改善されます。

悪性菌の温床でもある宿便の存在は、腸内細菌のバランスも悪化させるので、これの排除は、腸内環境の良循環を保つ上でも必須といえるものです。

目安としては、一日に3回の十分な量の排便が必要とされ、伝統的な生活様式を維持している先住民族を対象にした疫学調査では、平均して日に4回の排便が確認されています。

上記の腸内細菌の改善のためのプロバイオティクスの方法は、具体的には、胃酸と胆汁酸による消化をブロックするカプセルに封入した乳酸菌など数種類の有機酸代謝菌を腸内に直接送り込みます。


また、プレバイオティクスは、良性菌の繁殖を選択的に促すために、悪性菌には利用できない餌となる物質を与えます。

投与する細菌の種類と活性性能には、プロバイオティック製剤メーカー毎にノウハウがあるようですが、今では保存性の良い常温カプセル型で臨床効果が確認されている精製細菌のブレンド剤が普及しています。

腸内細菌の餌としては、腸内で分解されてフラクト・オリゴ糖になる難消化性多糖類の一種のイヌリン(Inulin)が有効です。
このイヌリンは、多くの生理活性効果を有していることでも知られ、二型糖尿病の緩和剤としても用いられているものです。

二型糖尿病と癌は、共に体細胞の変性化の継続的進行が引き起こす疾病


現在も変性疾患の罹患率が上昇し続けている日本では、専門家も含めて、必然的にか意図的にか知られていませんが、
二型糖尿病と癌は、共に体細胞の変性化の継続的進行が引き起こす疾病であり、原因も、従って根本的な治療法も完全に同一のものです。

現在、先進国の中で、癌治療に外科手術・抗癌剤・放射線照射の三点セットを100%執行しているのは日本のみで、その結果、癌患者一人当たりの医療費も最大になっています。

上記三点セットで二型糖尿病を治す事が不可能な事実からも明らかなように、これらは、本質的に癌の治療法ではありません。

利権が世界を腐敗させる例といえます。

ローレンス・リバモア米国立研究所で放射能拡散の疫学的影響調査を専門にしてきた研究者も指摘するように、放射線被曝による変性疾患でも、まず二型糖尿病が先行し、次に癌がその後を追って拡大してゆきます。

その意味で、二型糖尿病の罹患率の上昇は、明瞭な意味で次に続く癌の先行指標と見做すことができ、これによって将来の癌発生の程度を予測することが可能です。

この事は、イラクにおける米軍の劣化ウラン弾の使用の際にも見られ、欧州では、ちょうど一週間でイギリスに到達した放射能拡散の影響によって、この後の早い段階での二型糖尿病患者数の上昇が確認されています。


腸内細菌叢の改善方法


上記のことから、腸内細菌叢の改善方法として、プロバイオティック製剤とイヌリンの併用が効果的といえます。

イヌリンの摂取によって、イヌリン自体の持つ生理活性効果に加えて、新たに投与される有用細菌の増幅も期待できるので、結果的に比較的高価なプロバイオティック製剤の使用量を減らすことも可能です。

プロバイオティック製剤の有効性と投与量や期間については、それぞれの体質に左右されますが、同一パターンの菌の連用は、均衡状態に移行するにしたがって、初期に比べると次第に効果の減衰を感じるケースが多く、その場合は、投与量を減らして安定的に継続するか、菌種を変更するかの判断が必要になります。

これら二つの使用方法としては、空腹時に一緒に摂るのがベストです。
共に胃では殆んど消化されない難消化性で、蒸留水を用いた浄化法とも相性が良く、高純度のイヌリンは水溶性です。